手形

手形をどういうものか知っていますか? 知り合いに「ちょっと手形の裏にサインしてくれないか? 大丈夫、ハンコもいらないし別に借金の連帯保証人になるわけじゃないから」と言われたらどうしますか? そして、つい断りきれなくて裏書した瞬間、その手形は連帯保証人以上の効力を発揮することを知っていますか? 知らなければこんなに怖い手形について一緒に勉強してみましょう。

手形について知ろう

まずは手形と言うものがどのようなものかを説明していきます。

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手形は有価証券

手形とは、第一に有価証券というものであることを知りましょう。この有価証券というのは誰かが商法にのっとって価値を付けた物です。簡単に言うと、図書券、商品券などと一緒で、発行した業者が「この券にはいくら分の価値がありますよ」と保障した券です。図書券で説明すると、一般市民が図書券を業者から買い、その図書券で本を買います。本屋さんから発行した業者は保障した金額で買い取り、途中で現金をはさまなくてもいい、というのが有価証券です。

手形とは

手形もこの有価証券です。たとえば、500万円の手形を業者が振り出した(手形を発行することを振り出すと言います)とします。つまり、業者はこの手形に500万の価値があると保障したわけです。そのお金は一定期間の待機の後に、受け取った人間が銀行に行くと500万円に換金してもらえます。業者は保障どおりこの手形を500万円で買い取ります。(実際銀行が買い取る時には、すでに銀行口座に業者がお金を振り込んでおく必要があります。)

手形の信頼性その1

手形は誰でも発行できるものではありません。手形通帳(手形を振り出す用紙)は銀行が入念な審査を経て認めた企業にしか与えられません。つまり、手形を発行できるというだけでその業者には信頼があるということになります。

手形の信頼性その2

業者が適当に返済の見込みもないのに1000万の手形を振り出したとしましょう。当然期限を過ぎても業者はこの手形を買い取れません。これを手形事故といいます。これを半年で2回やってしまうと銀行はその業者との取引を完全に停止します。これを不渡りと言いますが、資金繰りの大元の銀行と取引できなくなれば業者はお終いです。そのため、業者はこの手形事故だけはなんとしても避けようとします。だからこそ手形の信頼性は守られているのです。

手形の交換所

手形は基本的に取引銀行においてのみ通用するシステムですが、それでは利便性が悪いとして各地域において手形の交換を行うようになっています。これにより、A銀行が振り出した小切手をB銀行が持っていた場合、B銀行が持つA銀行手形と交換しあうというシステムが出来上がっています。このシステムのおかげでA銀行振り出しの手形でも問題なくB銀行で決済してもらえるのです。

小切手と手形の違い

小切手には、手形と違って支払い待機期日がありません。受け取った小切手をそのまま銀行に持っていけば、すぐに振出人の口座から額面金額を受け取れるのです。大金を持ち運ばなくてもよいように、というためだけのシステムです。

手形の種類とそのシステム

手形にはいろいろな形態があります。また、このシステムをしらないと大変な目に会うかもしれません。ここではそういったことについて話します。

手形の種類(為替手形と約束手形)

手形には2つ種類があります。このうち為替講座は日本ではあまり見られないので、約束手形についてお話します。普通日本で「手形」と言えばこの約束手形になります。これは、この約束手形を持ってきた人物に対し、期日を満了していれば額面金額を払いだしてください、と銀行に要求する手形です。つまり手形に記された約束期限を過ぎれば、いつでも手形の持ち主は銀行で手形を現金に変えられるのです。銀行は支払った金額を振出人に要求します。この買い取り金は事前に銀行の口座に用意されていなければなりません。この残高が足りない状態を手形事故といいます。半年に2回これを起こすと不渡りとして事実上の倒産宣告となります。

商業手形(受取手形、もしくは支払手形ともいいます)

手形のいいところは、買い取り期日を指定できることです。たとえば、3ヶ月後に期日を指定すればその3ヶ月以内に現金を用意すればよいのです。つまり、今手持ちのお金がないけれど、その3ヶ月以内に収入のあてがある、と言うときに大変便利です。こうして、3ヵ月後期日が満了し、手形の所持者がお金に変えてもお金が用意されているので大丈夫なわけです。事実上、支払いを延期することが出来るありがたいもので、これを商業手形と呼びます。

手形の貸し付け(貸付手形)

現金の借款に対して、手形で貸し付けるものです。前述の通り不渡りは即倒産と言えるので、企業は最優先でこの貸付金を返済することになります。それだけ、貸した側は返済してもらえる可能性が高いといえます。

融通手形

資金繰りに困った業者に対して行われることが多いのですが、第三者が困った業者に対して手形を振り出す行為です。この場合、後で手形事故が起こる可能性も高く、争いの火種になることもあります。

手形割引

手形の割引とは、支払期日前の手形を第三者が必要な手数料などを割り引いた金額で買い取ることです。資金繰りが厳しくて、支払い期日まで待てないと言うときに行われます。手形を買い取った第三者は、後日期日を満了した手形から額面どおりの金額を受け取ります。

手形の裏書

手形は以上のように持ち主を変えることがよく見られるので、利便性のために「裏書」という制度を設けています。これは手形の裏に、裏書することによって一切のこの手形に権利を譲渡しました、という証拠になります。これによってスムーズな商取引が維持できると言うわけです。

手形の裏書の恐怖

裏書をしてしまうということは、その手形の信頼性を保証する、と言うことになります。ここが怖いところで、実は最終的な手形の所持者は、この裏書人の「誰に対しても」この手形の請求が出来るのです。たとえ振出人が逃げ出していたとしても、所持者は裏書人がいれば自由にその金額を請求できます。請求された裏書人はすべての金額を支払うしかありません。その後で、自分より前の裏書人または振出人について支払いを請求することになります。

裏書の抗弁

手形に裏書すると言うのは借金の連帯保証人になると一緒です。しかも、裁判を起こしても敗訴がほぼ確定と言えるほどに裏書の効力は高いのです。また、裏書はサインだけでも充分で、印鑑などを必要としません。書いたのが間違いなくあなただ、とさえわかればそれで効力を発揮します。手形の裏書は充分注意が必要です。

手形の扱いについて

このように、手形は商行為をスムーズにするためにいくつかの大きな権限が与えられています。つまり、「何も知らなかった」というのは司法において“まったく”通じません。手形は便利で、そして怖いものだと言うことをよく覚えておいてください。もしもあなたが手形に関係するようになったら、今はこうしたインターネットといった手段もあり、いくらでも情報を集めることができます。もう一度言いますが、「知らなかった」は通じません。対抗できるだけの知識を集めておきましょう。

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